「量子光工学」講義ノート

  • 参考書:井上恭,『工学系のための量子光学』 森北出版,(2008)
  • 『工学系のための量子光学』井上恭 著

    2024年度 博士前期課程 春夏学期

    [毎週火曜日, 第1時限 (08:50-10:20), E1-115室]

    概要: 光の持つ様々な量子的性質について、光通信を念頭に置きながら述べる。
    1. 光子 April 1, 2024 
    2. 量子光学は「光のエネルギーは離散的でありそれ以上には分割できない最小単位がある」ことを出発点としており、様々な量子力学的現象はこのことより派生する。この光エネルギーの最小単位を「光子」と呼ぶ。本章では、量子光学の導入部として、光子が発見された歴史的経緯を紹介する。光量子説、空洞放射、など。
    3. 量子光学の基礎 April 17, 2024  new!
    4. 光の量子的性質は量子力学により記述される。本章では、量子力学の考え方や数学的体系について、光子を題材にしながら説明する。量子力学的重ね合わせ、ヒルベルト空間、ケット状態、物理量演算子、固有値・固有関数、不確定性原理、シュレディンガー方程式、ハイゼンベルグ方程式、など。
    5. 電磁場の量子化
    6. 光は周波数の高い電磁波である。前章に基づき、電磁場を量子力学的に記述する。調和振動子の量子化、生成・消滅演算子、光子数演算子、など。
    7. コヒーレント状態
    8. 純粋な単一周波数光(または理想的なレーザ光)は、コヒーレント状態と呼ばれる量子状態にある。この状態は量子力学的に不可避な揺らぎ(量子雑音)を伴っており、これが光を用いるシステムの究極的な性能を決める要因となる。前章までの量子力学の理論体系を使って、コヒーレント状態の量子雑音を導出する。
    9. 光増幅  
    10. 誘導放出/自然放出は光の量子的性質から生じる現象であり、レーザ発振器や光増幅器の源となっている。この現象を前章までの量子力学の理論体系に基づいて記述する。
    11. 量子干渉
    12. 光の干渉現象は日常的にもよく知られた現象であるが、光子の世界では古典光学とは異なる干渉現象が現れる。これについて述べる。ヤングの干渉、二光子干渉、ビームスプリッタでの干渉、など。
    13. 量子もつれ
    14. 量子もつれ光子は量子の世界に特有な状態であり、日常的な直感とは相容れない不思議な特性を示す。また、量子コンピュータや量子情報通信のリソースとなる。これについて述べる。

    last updated on April 17, 2024